朝鮮大学校学園祭

これは2018年5月に作成された記事です。画像データを紛失してしまい、お蔵入りしていたのですが2020年に朝鮮大学校学園祭が開催される予定であるため、その参考として公開します。写真はありませんが想像で補ってください。

 

 

 

2018年4月27日、歴史的な首脳会談が行われた。そう、北朝鮮と韓国の南北首脳会談である。両国の最高権力者が板門店軍事境界線を挟んで握手し、共に国境を越えた映像は記憶に新しい。

その南北融和の熱狂のムードが冷めやらぬ内に朝鮮大学校(東京都小平市)にて学園祭が行われた。

 

西武国分寺線鷹の台駅の駅を降りると土曜日だというのに多くの女子高生がたむろしていた。おそらく朝鮮大学校の学園祭に行く朝鮮高校の学生だろう。玉川上水沿いに15分ほど歩くと、「歓迎」「환영」と書かれたボードが迎えてくれる。

 

「朝鮮大學校」「조선대학교」の正門をくぐり、受付を済ませると先着300人限定のキムチ引き換え券を渡された。あとで引き換えることにしよう。

 

우리 인민의 위대한 수령 김일성대원수님 만세!

(我ら人民の偉大なる首領金日成大元帥様万歳!)という力強いスローガンが校舎の上に掲げられているのが見える。これを見られるだけで朝大に来た価値は十分あるだろう。

 

メインステージのある広い中庭にはテーブルが敷き詰められ、それを取り囲むように出店が出ている。

 

バッジ屋では朝鮮の国旗や主体思想塔、金正日花等のバッジが200〜300円程度で売られている。バッジは人気商品のようで、すぐに売り切れてしまうそうだ。付ける機会はおそらく無いだろうが、記念にと朝鮮国旗と主体思想塔のバッジを購入した。

 

さて、朝大の学祭のメインは七輪で焼く焼肉である。テッチャン・カルビ・ハラミ(それぞれ1人前500円)の生肉を出店で購入し、テーブルに持って行って焼く形式で、青空の下ステージを見ながら焼肉を楽しめるという素晴らしい仕組みだ。

肉を焼き始めると、ちょうどいいタイミングでオープニングが始まった。全員でおなじみの「반갑습니다(うれしいです)」を合唱する。朝鮮音楽オタクなので出だしからテンションが上がってしまった。


반갑습니다

 

私達が到着した頃はガラガラだった中庭のテーブルも多くの人で賑わい始め、ステージではチャンゴ(朝鮮の鼓)を持って美女が踊っている。まるで北レスのようだ。

白米(200円)とキムチ(300円)を購入して焼肉を食らうと美味いことこの上ない。地上の楽園は朝鮮大学校にあった。

 

再びステージに目を向けるとチマチョゴリを着た牡丹峰楽団のコピーパンドが「달려가자 미래로(走って行こう未来へ)」を踊っている。皆美人であるだけでなく、ダンスのクオリティは「本物」であり、朝鮮の文化水準の高さを見せつけられたように感じた。私を含めた朝鮮音楽オタクが大興奮であったのは言うまでもない。


북한 댄스가요 '달려가자 미래로' 서울공연 고화질

 

 

ステージの午前の部が終了し、校内を散策する。校舎は閉鎖されていて入れなかったが、歴史博物館・自然史博物館を見学することが出来た。

歴史博物館は高句麗の古墳や亀甲船のレプリカなど朝鮮史を目で見て楽しめるようになっていた。あまり時間をかけずにサッと回ってしまったのが悔やまれる。

自然史博物館の方は鉱物・昆虫標本・動物の剥製・薬草などが展示されており、見ごたえのあるものであった。

 

ステージに戻ると子供向けのプログラムが行われており、ビビンバレンジャーなる戦隊がメタメタしいネタや時事ネタを混ぜながら悪と戦っていた。

 

さてステージの終わりが近づいてくると堕落した大人たちはマッコリですっかり酔っ払っている。一方、ステージではチマチョゴリファッションショーが行われていた。きらびやかなチマチョゴリは今も昔も朝鮮文化の象徴である。

忘れないうちにキムチを引き換えると、ビニール袋に入ったいかにも手作りといった感じのキムチを渡された。これは絶対美味しいという確信を持って鞄に詰めた。

 

そしてフィナーレ。毎回恒例の「統一列車」で学園祭の幕は閉じてゆく。「統一列車は走る(통일렬차 달린다)」の曲に合わせて老若男女が「電車ごっこ」のように連なり、グラウンドをぐるぐる回る。これほど濃厚にNK-POPを摂取できる空間は珍しいだろう。次の開催は2年後、2020年である。


統一列車は走る (통일렬차 달린다)